やまさ製茶のお茶ブログ|静岡・牧之原の深蒸し茶と暮らしの話

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暖簾の向こうに、変わらぬ仕事がある。新東鮨・赤尾憲治の寿司道

【やまさを彩る人々】シリーズ

長く続く店には、理由があります。
派手な宣伝ではなく、毎日の積み重ね。
一貫の寿司、一杯のお茶、そのすべてに“人”が宿っています。

暖簾の向こうに、変わらぬ仕事がある。新東鮨・赤尾憲治の寿司道

名古屋市名東区の寿司店 新東鮨の店舗外観
住宅街で長く愛され続ける老舗寿司店「新東鮨」。

名古屋市名東区。
猪子石交番のほど近く、住宅街の一角に暖簾を掲げる老舗寿司店「新東鮨」。

扉を開けた瞬間、外の喧騒は静かに遠のく。
代わりに広がるのは、酢飯のやわらかな香りと、出汁の湯気が立ちのぼる穏やかな空気だ。

カウンターを中心に11席。
決して広くはない。
だが、その距離感が心地いい。

そこには、“また来たくなる理由”が静かに流れている。

時代を越えて守り続けた暖簾

新東鮨の寿司職人 赤尾憲治さん
暖簾を守り続ける寿司職人・赤尾憲治さん。

店を切り盛りするのは、寿司職人・赤尾憲治さん。

結婚と同時に店を構え、以来、夫婦二人三脚でこの場所を守り続けてきた。

オイルショック。
バブル崩壊。
そしてコロナ禍。

幾度もの時代の荒波を越えてなお、カウンターには常連客の笑顔が絶えない。

そこにあるのは、奇抜さではない。
毎日変わらず積み重ねられる、確かな仕事だ。

口の中で、ふわりとほどける一貫

新東鮨の職人技が光るにぎり寿司
静かな職人技が光る、新東鮨の人気にぎり。

赤尾さんの握りには、無駄がない。

指先でほどかれるシャリは、口に運んだ瞬間、ふわりとほどける。
ネタの旨みをやさしく受け止めながら、静かに一体となっていく。

たとえばマグロ。

舌に乗せた瞬間、しっとりとした脂が体温でほどけ、ほんのり酸味のある酢飯と重なり合う。

噛むほどに広がるコク。
その奥に見えるのは、長年積み重ねてきた仕事の精度だ。

新東鮨には、大きな宣伝はない。

それでも、カウンターはいつも満席になる。

「ここの寿司を食べると、また明日から頑張ろうと思えるんです。」

そんな声が、自然と集まる店なのである。

海外の人にも伝わる“おいしい”の表情

近年では、SNSを通じて海外から訪れる客も増えた。

言葉は違っても、寿司を口にした瞬間の表情は同じだ。

目を細め、ゆっくりとうなずく。

その反応を、赤尾さんは静かに見守る。

料理には、言葉を超えて伝わる力がある。

寿司屋の空気を整える、女将と深蒸し茶

この店には、もう一人の主役がいる。
それが女将の存在だ。

「お茶のおかわりを頼もうかな」

客がそう思う、ほんの少し前。
その絶妙な間合いで、湯のみがすっと差し出される。

立ち上るのは、深蒸し茶の濃い緑の香り。

寿司の余韻を壊さず、むしろ次の一貫へと橋渡ししていく。

寿司屋のお茶文化については、こちらの記事でも詳しく紹介している。

寿司屋のあがり探訪|なぜ寿司屋のお茶は、あんなに熱くて濃いのか

また、日本人がなぜ食後にお茶を飲むのかについては、こちらの記事でも深掘りしている。

なぜ日本人は食後にお茶を飲むのか|日本茶文化と食後茶の理由

カウンター越しの会話。
グラスの置かれる音。
箸が止まる一瞬。

そのすべてに目を配る女将の気配りが、この店の空気を支えている。

偶然から始まった、40年のご縁

やまさ製茶との付き合いは、およそ40年前にさかのぼる。

裏口から訪れた営業マンに、店の子犬がじゃれついた。
そこから始まったご縁だったという。

赤尾さんがやまさ茶を選んだ理由は、「味の輪郭の強さ」。

深蒸し特有の濃い緑とコク。
それでいて後味は驚くほどすっきりしている。

「お客さんの反応がすべてですよ。」

そう語る赤尾さんは、静かに笑う。

かつて、お茶割りを見た客が「抹茶ですか?」と驚いたこともあるという。

鮮やかな緑。
深い旨み。
そして、“もう一杯ほしい”と思わせる力。

新東鮨には、派手さではなく「続いてきた理由」がある。

そこにあるのは、確かな職人技と、人のぬくもりなのだ。


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